恋愛喫茶店 ~罪と一緒にスイーツを~
「あ、あの……どなたですか?」
ようやく出た声は、少しかすれて震えていた。
1人だと思った所に、他の人の声が聞こえてくるのは、本当に怖い。
奥の影から、ひっそりと出てきたのは、この店のエプロンを付けた、おじさんだった。
少し太っていて、髪の毛は薄く、背は低め。年齢は40~50くらいだと思う。
「もしかして、新しいバイトの方ですか?なら、一緒に倉庫整理しましょう。1人は心細くて。」
姿が見えて、安心して、近付いていくと、おじさんは笑顔を返して、握手をしてくれた。
ぎゅっと、握った手はしっかりしていて、力強さが伝わってくる。これからのバイトをうまくやっていけそうな気がした。
「どうも、斉藤君。店長の沢村です。」
本当に、うまくやっていけるのか、凄く不安になった。