恋愛喫茶店 ~罪と一緒にスイーツを~
「あの……手伝いましょうか?」
「大丈夫。1人でできるから、ほっといて。」
無理な体勢をずっと続けているから、足が震えて、少しずつ力が抜けていく。
なんで、なんで、斉藤君の時だけ、こんなにうまくいかないのよ……
「でも……」
斉藤君が心配して声をかけてくる。
その声は心配の色しかないのに、必死な私はそれが「1人じゃ無理なんだろう?」っていう風にしか聞こえなくて。
「だから、大丈夫だって言ってるでしょう!」
怒って斉藤君の声をかき消す。最悪な八つ当たりだった。
イライラする。今まで、普通にやってきたことなのに、できないってどういうこと?
私は間違ってない。1人でできることをずっと、1人でやってきたはずなのに……
足がしびれて、もう限界だった。少しずつ、足が床についていく。
それでも1人でできないのを認めたくないと思って、また背伸びをしようとしたら……
手に持っていたみりんをとられて…しまった。