食人姫
「え、いあ……そ、そんなわけないだろ!」


急に話を振られて、慌ててそう言ったものの……由奈が「あぁん?」てな目で俺を睨み付けている。


完全に言葉のチョイスを誤った!


これじゃあ「由奈に彼氏ができるわけないだろ!」って言っているようなものだ!


哲也でも麻里絵でもいい、俺を助けてくれ!


と、心の中で叫んだ時だった。


階段の方からバタバタという派手な音が聞こえたのは。


「あ、やっぱり皆来てる」


「そりゃあ、ここしか来るとこないからな」


そんな話をしながら二階に上がって来たのは、さっき別れた源太と勝浩。


その後ろには直人と……同級生の未来、夏美の姿ともう一人。


小さな身長に小さな顔、街にいたらスカウトされそうな可愛らしい女の子がいたのだ。


「あー!大輔帰って来てるじゃない!何で誰も教えてくれなかったの!?」


長い髪を後ろで一つに束ねた、俺より身長が高い未来。


「そうだよー、私達だけ何も知らなされてないなんて有り得ないよ!」


そして、ちょっとぽっちゃりしている夏美が、俺を挟んで話し始める。


「知るか!俺も電車で一緒になって知ったんだよ」
< 13 / 272 >

この作品をシェア

pagetop