食人姫
どうして光が身代わりになろうとしたのを止めなかったのか。
指を渡せばそれで済んだのに、どうして麻里絵を逃がそうとしたのか。
自分達が死ぬ危険性だって考えていただろうに、それでも助けようとした理由は何なのか。
今ここにいない二人が、どんな想いで命を懸けたのか。
「麻里絵を犠牲にして生きるくらいなら、命懸けで助ける。皆そう思っているんだよ」
そうとしか言えなかった。
たとえ死んだとしても、麻里絵を見捨てて生きるより、ずっと人間らしい。
その為に、哲也も光も命を懸けたんだと。
だったら、俺も命懸けで麻里絵を逃がさないと、二人に申し訳ないじゃないか。
「私は……皆に生きて欲しかったのに……」
「じゃあ、皆の為に生きろ。勝浩も哲也も……そう思ってるはずだ」
俺がそう言うと、麻里絵は何も言わずに涙を流した。
手を繋いで、田んぼのあぜ道を歩いて、谷の入り口に向かう。
谷にいれば、必ず麻里絵は捕まってしまうから、街を目指そう。
出来れば自転車で行きたい所だけど、あいにく俺のは荷台が付いていないから二人乗りが出来ない。
離れてはいけない状態で併走することは出来ないから歩いて。
指を渡せばそれで済んだのに、どうして麻里絵を逃がそうとしたのか。
自分達が死ぬ危険性だって考えていただろうに、それでも助けようとした理由は何なのか。
今ここにいない二人が、どんな想いで命を懸けたのか。
「麻里絵を犠牲にして生きるくらいなら、命懸けで助ける。皆そう思っているんだよ」
そうとしか言えなかった。
たとえ死んだとしても、麻里絵を見捨てて生きるより、ずっと人間らしい。
その為に、哲也も光も命を懸けたんだと。
だったら、俺も命懸けで麻里絵を逃がさないと、二人に申し訳ないじゃないか。
「私は……皆に生きて欲しかったのに……」
「じゃあ、皆の為に生きろ。勝浩も哲也も……そう思ってるはずだ」
俺がそう言うと、麻里絵は何も言わずに涙を流した。
手を繋いで、田んぼのあぜ道を歩いて、谷の入り口に向かう。
谷にいれば、必ず麻里絵は捕まってしまうから、街を目指そう。
出来れば自転車で行きたい所だけど、あいにく俺のは荷台が付いていないから二人乗りが出来ない。
離れてはいけない状態で併走することは出来ないから歩いて。