食人姫
「いただきます」


光と由奈と三人でテーブルを囲って朝食を摂る。


生まれてから一度もなかったこの光景に、若干の戸惑いを覚えながらも、光が作ったであろう食事を口に運ぶ。


……美味いな。


俺の母さんより料理が上手いんじゃないか?


そんな事を考えて食べている俺の正面で、由奈はバツが悪そうに俺を見ているのが視界に入る。


まるで睨みつけているかのように。


「こーら、由奈。大輔は悪くないんだから謝らなきゃダメでしょ?」


「うう……ごめん」


光に注意されて、ようやく謝罪の言葉を口にした由奈。


昔から、光の言う事だけは聞くんだよな。


俺にはやけに突っかかってくるのにさ。


「別に良いよ。それより、この太鼓の音は何なんだ?ずっと聞こえてるけど」


聞きなれない太鼓の音で起こされたのに、何の為に打ち鳴らしているのか分からないのは気味が悪い。


「これは……お清めだよ。昨夜、大輔と由奈が化け物に襲われたじゃない?だからやってるの」


なるほど……と、言いたいところだけど、儀式や化け物については、全くと言って良いほど俺は何も知らない。


はいそうですかと、簡単に納得なんて出来るはずがなかった。
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