食人姫
「まあ、あいつがいたら話せない事もあるしな。聞きたい事があるんだよ」


と、言っている間にも腕にしがみ付くような体勢で、俺の肩に頭を付けている。


「もう、そんな事聞かなくても僕は大輔が大好きだから大丈夫だよ。小さい頃からずっとずっと大好き」


……何だろうこの微妙な気持ちは。


テレビなんかで、オネエの芸能人を見ても「ないな」としか思わなかったのに、実際に好きと言われると悪い気はしない。


さらに言えば、一応光は男だから、後ろめたさを感じない。


でも、ベタベタするのはやめてほしい。


「そ、そんな事聞いてねぇよ!勘違いするところは由奈と同じだな。そっくりだぜ」


このままでは、光のペースに流されてしまう。


そう感じた俺は、慌てて腕を振りほどいた。


「ああん、もう。だったら何?聞きたい事って」


「分かってるんだろ?この儀式の事だよ。何の為の儀式で、どうして麻里絵は……その……」











死ぬんだ?












なんて、言いたくない。


言葉が詰まって、それ以上聞く事が出来なかった。


だけど、そんな俺を見て察したのか、昨夜の由奈と同じようにTシャツの裾を掴んで話し始めたのだ。
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