食人姫
そして電車は谷の最寄り駅に到着し、ここからはバスでの移動。


一時間近くかかる山奥に、谷はある。


駅を出て、バス停まで三人で話をしながら歩く。


「バスは……後10分ほどか。それにしても大輔がいて良かったぜ。直人はガリ勉だからよ、話がつまんねーつまんねー」


「あのね、その僕にテスト前に泣き付いてくるやつはどこのどいつだい!?」


やっぱり昔と何も変わってないな。


外見が激しく変わってしまった哲也には正直戸惑ったけど、中身は昔と何も変わらない。


それを知って、やっと中学生の頃の哲也と結び付いた感じだ。


「お、ほら見ろよ、一個下の源太と勝浩も一緒の電車だったみてえだな」


そう言って、二人に手招きをして呼ぶ哲也。


俺達が卒業した中学校は、全学年で20人程の小さな学校。


小中学校だから、小学生も合わせれば50人ほどはいる。


皆同じ谷で育ち、同じ学校で過ごす、兄弟みたいなものなのだ。


「あ、大輔君久し振り!元気だった!?」


「哲ちゃん止める人がいないからさ、俺達結構大変なんだよ!?」


などと、久しく会っていない俺に対してでも、遠慮なく俺に接してくれる良い奴らだ。
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