食人姫
哲也の意見はいつも極端なんだよ。


中学生の頃もそうだ。


遅刻するなら学校を休む、分からない授業なら寝てた方がマシ。



そんな哲也の、極論とも言える提案だったけど……それで儀式をしなくて済むと言うなら、それも最終手段としては悪くないと思ってしまった。


「そ、それは……い、いや、ダメだ。それで麻里絵が巫女から外されても、他の子が巫女にされるかもしれないだろ!?それに……もしもそのまま儀式が行われでもしたら、儀式は失敗して、あの化け物を鎮める事が出来ないかもしれない」


ボリボリと頭を掻きむしりながら、直人が必死に考えたであろう可能性を並べる。


化け物を鎮める事が出来なかったらどうなるんだろう。


このノートに書かれていたように、大量に人が死ぬ不幸に襲われてしまうのだろうか。


もしもそうなれば、結局麻里絵を助ける事は出来ないかもしれない。


俺達も、勝浩みたいに化け物に食われて死んでしまうかもしれないのだ。


「それで、どうすれば良いの?何をするにしても、この時間じゃ外は出歩けないよ」


窓の外に目を向けた由奈が尋ねたけど……それに反発するように哲也が口を開いた。


「関係ねぇよ。いざとなったらやるしかねぇんだよ」


それは最終手段という意味だろうけど、それまでにそうならない方法を探すしか、俺達に出来る事はなかった。
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