海までの道 ~あなたと私の距離~


柚葉は薬で眠っているらしい。


ママは昨日のお礼を言って、精密検査の結果で脳には異常ないからと話した。


そして、これからどうしても用事があるので、出かけるのだといった。


「高瀬先生、和奏ちゃん、本当にありがとう。もうすぐ薬がきれて目が覚めると思うけど…」


『もう少し、いてもいいですか。』


「もちろん。そうしてもらえるのは、うれしいわ。いつもいろいろと心配してくれてありがと。体調が悪かったらしくて、倒れたらしいの、疲労もあったらしいわ。全然気がついてやれなかったの。病気もこれから治していかないと…これからもあの子の話聞いて
、力になってやってね」


そう言って柚葉のママは、もう一度先生に挨拶し、病室を出て行った。



『よく寝てるね』

「寝顔、かわいいな」


『うわー、それやばい発言でしょ』


でも、タカ先が言ったとおり、柚葉の寝顔は穏やかで、本当にかわいかった。
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