海までの道 ~あなたと私の距離~


「あれ…わかな…せんせい…」


柚葉が目をさました。


「大丈夫か?」


タカ先が言った。


「…うん…ありがと」


というのと同時に涙を流した。


「…ママから話きいた?」


『うん、脳には異常がないからって…』


「他の検査の結果は聞いてない?」


『…うん…』


しばらく沈黙が続いた。


「あのね…」


柚葉が口を開いた時、タカ先がいった。


「俺は、帰ろうかな…」


「…あのね、先生にも聞いてもらいたい。私のことや、私の思いを。私の大切な人に聞い
てほしい。そして、受け止めてほしいの。これから私が、私らしくいられるために…いいかな…」



柚葉は大きく息を吸って、話始めた。
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