海までの道 ~あなたと私の距離~
「いろいろ心配かけてごめんなさい。私、先生と出会えてよかった」
「何、言ってるんだよ。よかったな、元気になれて。また、いつもの井上スマイル見られ
るな」
「せんせい…」
「…なんだ」
「これからもよろしくね」
「おう」
「…あの、生徒としてだけでなく、先生を好きになってもいいかなって…私ね、先生の大切な人になりたいなぁ…」
「…えっ…それって、いいのか。俺なんかで…」
「うん。ごめんなさい。先生はずっと私を見ていてくれたんだよね。でも私はわからなかった。でも、これから私も先生のこと見つめていきたい。私のことも、もっと知ってほしい。先生のこともたくさん知りたいから」
「ありがとう。うれしいよ」
「これからもよろしくお願いします」
二人は出会い、手をとりながら同じ方向に歩もうとしている。
人にはいろいろな出会いや別れがある。
一緒に進む人
立ちふさがり行く道を阻もうとする人
心地よい風のように過ぎ去る人
雨や嵐のように悩ませる人…
行くべき道は自分にもわからない。
でも、困難が待ち受けていようと、愛する人や自分の信じるべき人と共に歩んでいけることは、幸せなことだと思う。
人は歩き続ける。
それは、大切な人と出会うため。
それは、自分の道を作るため。
柚葉とタカ先の笑顔を見ながらそう思った。