海までの道 ~あなたと私の距離~

「はじめて見るのに何だか懐かしい気持ちになるのはなんでだろう」


「そうだね…きっと、生き物は海から生まれてきたからじゃないかなぁ。海を見て愛おしく思い、海を見て泣き、海を見て自分を見つめる」


マスターの優しい声が心に響く。


『いいものってこれだったんだね』


私が言うと、


「ううん、これもすばらしいけど、もっと幻想的かも…ねっ、マスター」


航太がこたえた。


マスターはウィンクしてうなずいている。
< 164 / 236 >

この作品をシェア

pagetop