海までの道 ~あなたと私の距離~


「ご機嫌なおったな」


声にびっくりして振り向いた。

バスタオルを頭からかぶった航太がいた。


「和奏も風呂入ってこいよ。今、お湯落としておいたから」


『うん』


荷物から着替えなどを出してバスルームに向かおうとすると、


「いいものあったんだぜ。ほらっ」


手渡されたのはバスエッセンスボールだった。


『ありがと』


なんだかドキドキがふっと消えた。


浴槽にボールを入れると、いい香りがして、青い海になった。



私は温かい、やさしい香りの海に入った。
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