海までの道 ~あなたと私の距離~


航太は両手を私の頬に置き、


「今日はありがとうな」


と言ってキスをしてくれた。


私は頷きながら航太のやわらかい唇を求めた。


そして、もう一度両手で私の顔を包みこみ、私を見つめた。


心の中で私は『いいよ』と言った。


航太はその返事のように、ギュッと私を抱きしめると、


「俺は、和奏が大好きだ。…でも…今のままじゃ…まだだめなんだ。和奏のこと大事にしたい。だから、俺が責任を持てるようになった時いいか」


と言った。


航太の気持ちが痛いほどわかった。


愛しているからこそ抱き合いたい。


でも、愛しているからこそ抱けない。


心のつながる二人でありたい。
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