海までの道 ~あなたと私の距離~


「俺、自分自身がわからなくなるときがある。和奏は俺となんかで幸せになれるんだろうかって。俺は…」


『航太は私の存在そのものだよ。航太がいるから今の私がいる。大好きな航太がいるから、自分自身も好きにだよ』


「ありがとな、和奏。こんな俺でごめん。もっとしっかりしなくちゃ…」
話が終わらない間に私は航太にキスをした。


「わか…」


航太にキスを通して私の気持ちを伝えたかった。


   航太、大好きだよ。


ゆっくりと言葉を選びながら話すやさしい声も。


子ども達の様子を話す時の輝く目も。


つないだ大きな手のあたたかさも。


どんな航太も大好きだから。


何度もキスをする私に「わかった」と返事をするかのように、航太は私におでこをつけ自分の体を預けてきた。


「和奏に触れていると安心する」


航太が手を握る。
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