海までの道 ~あなたと私の距離~
突然私の携帯から着信音が聞こえてきた。
「着メロかえたの?」
あれっ、おかしいな…でもこのメロディ…
「これってさ、洋画の曲だろ?あの映画いいよな。でもずいぶん昔の…和奏も見たの」
えっ、これって…
航太とつないだ手を思わず振りほどいた。
「どうした?」
『なんでもない』
もう一度私の手を取り、航太は自分の頬にあてた。
「和奏が消えそうだ。もう一度抱きしめていいか?」
航太に抱かれながら、私の存在がこのままなくなってしまうのではないかという不安を消し去るように、私も強く強く抱きしめた。