海までの道 ~あなたと私の距離~


「ほんと、おいしいね」


「航太さん、来られなくて残念だったな。」


『う、ん?』


パスタをほおばりながら私はタカ先を見た。


「今日、俺、航太さんとも夕飯一緒に食いたくて誘ったんだ。でも、忙しいからって。何
だか締め切り近いんだってな」


『うん。航太の考えた企画が大詰めなんだって』


「さみしくない?」


柚葉が心配そうに聞いた。


『大丈夫。つながってるから』


私は心の中からそう言った。


「はい、はい。心配するまでもなかったね。ごちそうさま」


『やったー。柚葉、これ、いただき』



「ちょっと、まってよ。そのごちそうさまじゃない。かえしてー」


私達のふざけている様子を見ながら、タカ先は少し声を落として言った。


「でもさ、お前は大丈夫でも、航太さんはどうかな?」


そういえば、あの言葉が忘れられない。
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