海までの道 ~あなたと私の距離~
「デザート見てくるね。和奏は?」
『私はいいや』
柚葉が席をはなれ、タカ先と二人になった。
遠くを見つめる眼差し…
あの時、航太は誰を思っていたのだろう。
『先生、その人があるのは過去があるからだよね』
「そうだな。今を生きているから、過去が生まれる。過去は消すことも変えることもできないけれど、今を一生懸命に生きていればどんな過去も自分にとって良かったと思えるようになるんじゃないかな。いろいろな人と出会い、いろいろな経験をして人は成長する」
タカ先はそう言って、グラスに入っていた水を一気に飲み干した。