海までの道 ~あなたと私の距離~
『先生の眼、航太とよく似ているんだ。どこか遠くを見つめる眼が。航太がこの前この風景写真を見たときの顔と、海に行ったときシフォンケーキ食べた時の先生の顔と同じだった。いろいろなことがあった…それは、わかっているんだけど…』
「お前ほんとに…俺より大人じゃないか。人を思いやる気持ちは優しさから生まれているんだから、お前なら大丈夫だよ。相手の過去を知りたい気持ちも、自分の素直な感情なんだからいいんじゃないかなと俺は思うな。でも、誰にでも触れられたくない部分があるだろ。好きな人だからこそ、そこを大切に思ってやることが必要なんじゃないかな。お前の気持ちは、航太さんに届いているはずだから」
『はい…』
「そうか、あの時の俺、見られてたか…」
どのデザートも迷っちゃうと柚葉がテーブルに戻り、またにぎやかな食事になった。
人との出会いがあってこそ人は成長していく。
だって、こんなすてきな出会いを私もしたのだから。