海までの道 ~あなたと私の距離~


「お前、これからの進路はどうする?」


『えっ、いきなり…』



「航太さんと連絡取ってないだろ。柚が心配してたぞ。」


『…』


「なんとなく航太さんと俺、似てるんだよな。お前にもこの前言われたけどな。でも、過
去に目をつぶって逃げている俺とは違う。航太さんはお前を大事にしているからこそ、今悩んでいるんじゃないのか」


『でも、過去に自分がいないのが悔しくて…航太は今でも彼女のことを…航太が離れていっちゃうんじゃないかって…そんな風にしか思えない自分も嫌で…』


タカ先は、私の頭をポンとたたきながら言った。



「お前の悩みは航太さんの悩みでもあるんだぞ。お前もわかってるとは思うけど」



タカ先の声が私の心に染み渡る。 


『あのね…航太が会って話がしたいって…』


「どうする?坂井は…」


『…会いたい…』


「そうか。じゃぁ、進路相談終わり。迷ったり、悩んだりしたらいつでも相談にこいよ」


『ありがと。先生』



教官室を出て、すぐに私は航太にメールをした。
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