海までの道 ~あなたと私の距離~
どんな話をしたんだっけ…。
思い出すのは、私のおしゃべりに、晴人はいつもやさしく頷いて聞いてくれていたこと。
キスするときも、抱いてくれるときも…
いつも晴人は静かに私を見つめてくれていた。
それなのに私は、晴人を見ることができなくなっていった。
見るのが怖かっただけかもしれない。見ることができなかったんだ。
今、を生きるのが精一杯だった。
晴人といる安らぎさえ見つけることができなくなるほど、自分に余裕がなかった私。
一緒にいるだけで幸せなはずなのに、いつの日からか、
この時を壊したくないことだけを考えるようになってしまっていた。