海までの道 ~あなたと私の距離~


ページをめくると、波の音が聞こえる。


「遅くなって、ごめん」


その人はかけこんできた。そして、写真集をみると、息をきらしたままいった。


「これだー。これだよ。ありがと。ずっと探していたんだ。ありがとう」

そして、


「ごめん、一方的に話しちゃって。まずは、改めて、時間遅れでごめんなさい。待たせちゃったね。時間、大丈夫?」


私が、頷くと、


「俺、藤村航太です。」


といって名刺をくれた。


高校生に名刺?なんだかおかしく思えたけど、航太のまっすぐさが伝わってきた。
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