【完】山崎さんちのすすむくん
雨音
文久四年 一月十七日
晴れ
島田汁粉のおぞましさを身をもって体験してから一晩が経ち、漸く胃の不快感が消えた。
もう俺があれを食すことはないであろう。
正月京に残った連中の話を聞いたところによると、四日の鏡開きの時にも屯所に甘やかな匂いが立ち込めたらしい。
鍋一杯に拵えたそれを一人で食べたというから恐ろしい。
想像するだけで吐き気が沸き上がってくる。
誰も食べられなかったようだが、もしかしたら沖田くんなら食べられるのではないだろうか。
今度甘味好き仲間として紹介してみよう。
中々に気が合うのではないかと思う。
夕美に貰ったちょこは今日食べた。旨かった。
俺にはこの小さな欠片で十分だ。