【完】山崎さんちのすすむくん
「ああ、変な意味はないぞ。内助の功というか……まぁ山崎くんみたいな人材が歳の側についていてくれると助かるということだ!」
内助の功……それやっぱり嫁ですやん。
なんて、つい頭の中でつっこんでしまったものの、局長にそう言って頂けるのは有り難い。
「恐れ多いことで御座います」
流石に嫁にはなれないが、縁の下を支える柱のような存在にはなりたいと思う。
そんな思いを胸に抱いていれば何故か近藤局長はハッと何かを思い出したように目を泳がせた。
……?
「念の為、聞いておきたいんだが」
「はい?」
「その……なんだ……妙な噂を聞いてな。俺はあくまでも噂だと思うんだが……」
しどろもどろと言いにくそうなその様子に沸々と嫌な予感が沸き上がる。
「その、歳と好い仲」
「そのような事実は一切御座いません」
全力で否定させて頂こう。
局長の言葉を遮るのは大変に申し訳ないが、これは俺だけの問題やないからな。
今日一番の笑みで今日一番の切れの良さで言い切る俺に、局長の無骨な顔がひきつる。
「あーうん! そうだな! そんな筈ある訳ないよな! 俺もそう思ってたんだ! 皆には俺から言っておこう!」
「……お手数お掛けして申し訳御座いません、宜しくお願い致します」
ぺこりと深く頭を下げながら、俺はやり場のない怒りに満ち満ちていた。
犯人は間違いない……奴や。
これは自覚がないで済ましてええんか?あかんやろ?あかんよな?
……口で言うてもわからん子ぉにはおにーさんが優しゅう仕置きしたるさかいになぁ。
薄い笑みを浮かべて、未だぎこちない表情の局長と歩き出した時。