【完】山崎さんちのすすむくん

何もんやねん、その笑い。


……それがけーたいとやらか。物やってんな。


夕美が持つそれに顔を近付けてみる。


なんや金属か……? にしちゃけったいな色やしなぁ。


「ほんでこれは一体なんやねん?」

「本当は離れた所にいる人と話す物なんですけど」

「ほー! どないして? 見せてくれるんか?」

「や、今は電波がないんで無理です」

「なんや……」

「それより烝さん、はーい笑ってー」





と思ても既に笑てる悲しき俺。


──カシャ


「うぉ!? な、なんやっ!?」


光った! 光ったで! 妙ちくりんな音なったでっ!!


思わず仰け反った俺を夕美はからからと笑う。


「そんな怯えなくても大丈夫ですよーただの写真ですから」

「しゃしん……?」


ほら! と見せられたけーたいを見やれば……。


「お、俺がおる!?」


ほな今此処におる俺は何やねん!?


「ほ、本物は俺やで? こいつは偽モンや! そっくりさんや! だって小さいし薄っぺたいし!! はっ! もしやこれが妖怪一旦木綿っ!?」

「わかってますよ、ちょっと落ち着いてください。これはただの絵みたいな物です」


……こいつに諌められると何や無性に悔しいな。


てか……絵? どう見てもほんまもんやで……、いや、そう言えば何か聞いたことが……ふぁ、ふぇ、ちゃうな。えぇと……あ!


「ふぉとがら、か?」


でもあれはもっと時間がかかるもんやった筈やし色かて……。


「音楽も聞けますよーほら」


夕美がまたそれを弄るとけーたいからは聞いたこともない軽快な音色が響いてくる。


ほぉ! 何やようわからんけども


「凄いなこれ!」


好奇心を擽るわ!


「こんなのこの時代にはありませんよね? 未来から来たって信じてくれました?」


どーんと胸を張って妙に威張りくさる夕美。


「……取り敢えず、な」


素直に頷けんのは当然やろ。
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