【完】山崎さんちのすすむくん
泣きそうに笑うそいつの頭を引き寄せ、ぽすりと肩口に押し付けると、俺もまたそれに頭を預ける。
その不安を取り除くように。
顔を、見られないように。
「不安にさせてすまんかったな。別に嫌いになったからやとかやのうて、その、俺もどないしてええかわからんくて」
今のこの関係が変わるんが何となく怖かった、ちゅうたら呆れられるんかな。
だって自分でも思うもん、ええ歳してって、監察やのにって。
でも、お前さんの方が怖かったんやな。
あんな別れ方してずっと話も出来んくて。いくら女将さんらが側におったかて所詮あの人らはなんも知らん。
急に置いてきぼり食らったみたいやったんかも……しれへんな。
此処に来てもう一年以上や、気丈に見えてもほんまは帰れるか不安もあるんやろし。
そら心細い、わな。
その頭に添えたままの手にキュッと力を籠める。
……俺も、ちゃんと言わんと。
「その、お前さんの言う好きとはまたちゃうかもしれんけど、俺もお前さんのことはそのたっ、大切に思とるし……うん、これからもその、よろしゅうに」
ゆっ、言うた……!
うん、なんやろ、めっさ恥ずかしーけど言えた! 頑張った俺っ!
ドキドキと早鐘を打つ心の臓にじわり体温が上がるのを感じる。
風は少し冷たいというのに、それすら心地よく思える自分に突っ込みたい衝動に駆られていた時。