【完】山崎さんちのすすむくん
きっきりもう(鬼ごっこ)やかくれんぼ、回りの回りの小仏(かごめかごめと同様の遊び)に座り相撲。
童の遊びはとかく体力勝負である。
「ーーはぁっ」
暫し休憩と寺の縁側に腰掛ける。
「すっかり懐かれましたね」
ふふっと笑いながら沖田くんがあとに続いて隣に座った。
「まぁ昔っからちっさい子の相手させられとったしな」
「言葉もすっかり地ですね」
「あいつら相手に話し方変えてもあれやろ。なんやややこいし今日はこっちでいかせてもらうわぁ」
コキコキと首を回していると、沖田くんは愛しむような目で未だ走り回る童を向く。
「此処に来ると童心に返れる気がするんですよね」
ほんであんさんんな子供っぽいんか。うん、納得や。よー来とるらしいもんな。
ま、その気持ちはわからんでもないけどや。確かにこないな遊びしたんも久々やし、なんや懐かしわ。
童特有の甲高い声に、ふと脳裏に浮かぶのは遠い昔の記憶。
お兄に林五郎に琴尾、その上の四人の兄貴らと駆けた幼い頃の思い出。
……ん、たまにはこーゆぅんもええなぁ。
自然と口許を綻ばせ、後ろ手を付いて童達を眺める。
吹き抜ける風が汗ばんだ体に気持ち良い。
「正直言うと私、ただ近藤さんに付いてきただけで近藤さんや土方さんみたいにこれと貫く信念もないんです」
そんな時、ぽそりと呟いた沖田くんの横顔に僅かに陰りが差した。
「でもいつの頃からかこの子達の住む町を、幸せを守りたいなぁなんて考えるようになって。……何か、取って付けたような小さな大義ですけどね」
えへへと自嘲するように頬を掻く沖田くんは珍しく弱々しく見える。
……そか。