【完】山崎さんちのすすむくん
「……そんなん俺かて似たよなもんや。別にちっさない、人の幸せ守るんは自分の幸せ守るよか難しねんで?そん為に大小下げとる自分は立派や。それをわからん連中が勝手に言いよるだけやろ。やから、気にせんでええんちゃう?なんて呼ばれようが自分は自分やろ」
キラキラと輝く木々の隙間を見上げながら一気に言い切る。
気が付けば、日は思ったよりも西へと傾いていた。
町で沖田総司っちゅうたら冷酷無比な人斬りや。勿論この子らも、親も、そう思っとるんやろ。
せやからあえて幼名つことるみたいやけど……仲良うなればそんなけ後ろめたくもなる。
このまま偽り続けてええんか、この子らの好いとる自分はほんまの自分やないんちゃうか、ってな。
でも名前とか見た目とか、大事なんはそこやない。
この子らの澄んだ目ぇが見つめとるんは中身やろ。
やから俺はええと思
「ーーっ、もーやっぱり山崎さん大好きですっ!」
うんやけどぉぉっ!?
両の手を広げ、ガバリと襲ってきた沖田くんの腕を寸でで掴む。
ふー危ない危ない。こん人の最大の愛情表現ギューなん忘れとったわ。
「何で止めるんですかー」
「……気持ちだけもろとくわ」
不満そうに口を尖らす沖田くんと苦笑いの俺が互いに腕を広げ視線を交わしていると、童達がパタパタと此方へ駆けてきた。