【完】山崎さんちのすすむくん
決意の向こう
慶應三年 六月十日
晴れ
今日、我ら新選組がついに幕府の直参(幕府に直属した一万石以下の武士)に取り立てられた。
本物の武士、というものになったらしい。
伊東らの分離により、手薄になった幹部を補う為助勤に上がった俺も、それに伴いそこそこの位に給金を頂けることになった。
局長は積年の思いに感極まった様子であらせられたが。
俺自身本音を言えば少々複雑だ。
まぁとりあえず、今のところやることは変わらないようで安心した。
助勤になって以来、御陵衛士のこともあり少しばかり忙しない日々が続いているが、そろそろあれを実行しなければという思いが強くなってきた。
次の非番には町へ行くことにする。
その先は考えていない訳ではないが、どうなるのかはわからない。
いつか、を考えるとそう単純なものではないように思うから。
だが幾ら考えてもわからぬものはわからぬのだ。
ならばしたいことをする、それが今の俺に出来る精一杯だ。
しかしまぁ一度は経験したこととはいえ、やはり何とも緊張する。