【完】山崎さんちのすすむくん
曇天
文久三年 十二月二十七日
曇りのち晴れ
野口健司、切腹す。
筆頭局長であった芹沢さん達水戸派の幹部が『何者か』によって殺された後も隊内において、水戸派唯一の副長助勤を務めていた人間。
親い人間が殺されても、ただ黙々と隊務をこなしていたように見えた。
だが彼も、少しずつ不安や恐怖にその心を蝕まれていたのだろう。
彼の為にも詳細は省く。
ただ、疲れたと。
享年二十一、生きるに疲れるにはあまりに早過ぎると思う。
痛ましい、とも思う。
しかしながら、此処は新選組。
規律を乱す者は許されぬ。
組織というものは何かに縛られてこそ瓦解せずにいられるのだ。
彼の死は礎に。
それがひいては弱き者を守ることに繋がるのだから。
ただ、願わくはその魂の安らかならんことを。