涙〜あなただけが〜


防火扉の前、廊下の隅


頬を赤らめてもごもご黙る茜ちゃん





「あのね、あたし...」



こんな仕草されたら誰だってわかっちゃう けどね



口にする言葉はすぐ想定できた




「晴人のこと、好きなんだ。」




やっぱりね


晴人は明るいしスポーツができる

勉強はまあまあ、顔も...うん、悪くはない





好きになるのもおかしくはないと思う







「それでね、香澄ちゃんはさ...」




「ぜんっぜんない!」




「へ?」




「私は絶対ない!」



聞きたいことなんてわかるよ




今までもこんなことあったもん


喧嘩は好意の表れで
本当は好きなんじゃないかって







私が晴人を好きなんて
絶対に...ないけどね!!!





ほんっといい迷惑





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