涙〜あなただけが〜



「じゃあ、なんで...」


油断していた


晴人が私の左手をとって
袖をまくってしまった



「......っ」



ゴクリ、とつばを飲む音がした



「なんでこんなに我慢してんだよ...!」





なんで知ってるの?


なんで



見つかっちゃいけないのに




「お願いだから死なないでよ...


俺がお前の支えになるから。
こんなこと今さらって思ってもいいから



お前が笑わないと笑えないんだよ!」






いつから本物の笑顔が出せなかった...?


いつから泣いてばっかりの世界が
私の全てになった...?




「もう我慢すんなよ...!」





もし、今言っていいのなら


もう我慢しなくていいのなら



「晴人...お願い、一人にしないで...

なんでもするから隣にいて...

晴人がいないと...私...!」



「もう言うな」



_____ギュッ




久しぶりの香り

久しぶりの温もり



いつもはその手のおかげで涙は止まったけど

この時だけは逆効果だったんだよ




それでも離したくないって思ってた














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