涙〜あなただけが〜
第1章
はじまり
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【2009年】
「じゃ、テスト返すぞ、取りに来い!」
1時間目早々嫌なワードが響いた
「げっ」
蓮沼香澄、12歳
小学六年生
もみじが色づく秋
始まりは音もなく突然訪れた
「香澄は算数だめだもんなー」
「うっさい、晴人よりできるわ!」
_____水野晴人
クラスのお調子者で
とにかくうるさい
しつこい
めんどくさい
そして、最悪なことに隣の席
「へー、じゃあ俺より下だったら...」
「なーりーまーせーんー!」
中の下の位にいる晴人なんかに
負けてたまるもんですか!
「へぇ〜どうだか?」
くっそ〜!
ぜったい上だもん!
「見てなよ!私が上だから!!」
「喧嘩するより取りに来たらどーだ?」
少し怒りが混じった担任の声
う、受け取りずらい...
「仲良いのはいいけど早く来いよ?」
「ごめんなさーい...」
山口先生から目をそらしてすぐに点数を見る
...ま、なんとか
「もー、晴人のせいで怒られたじゃん!」
「はいはい、すみませんねえ〜」
反省の色が見えない謝罪はいつものこと
慣れたくはないけどこればっかりはしょうがないな
毎日怒ってたんじゃキリがないもん!