Arabian Princess 〜海賊に連れ去られた王女
「なんだ。余裕そうだね。」
銀歯男をひねり上げている男は、愉快そうな声でそう言った。
サフィに背を向けているため顔は見えないが、恐らく笑っているのではないかと思う。
彼のサラサラと流れるブロンドの髪が怪しく揺れる。
「イタタタタタッ、イテェ。
は、放せ!」
「放してくださいだろ?」
彼は銀歯男を捻る力をさらに強め、楽しそうに言葉を落とす。
「せ、船長!!」
銀歯男の後ろにいた男たちはそう声をあげて彼を睨み上げるが、怖いのか手を出してこない。
「おい、てめぇら!早く助けろ!」
「で、でも…!」
呆れた話だ。
腰を引いた男たちは情けない体制で、後ずさる。