Arabian Princess 〜海賊に連れ去られた王女
「はっ。泣く子も黙る海賊が聞いて呆れる。」
彼は男たちのその情けない様子を見て、鼻で笑った。
サフィはそんな光景を見て、固まるしかない。
眩しいブロンドヘアーを靡かせる彼は一体何者だろうか。
背中を向けているため彼が知り合いなのかどうかも確かめられない。
「てめぇ、何もんだ!?」
「名乗る程の者じゃないよ。
まぁ、強いて言うなら、お姫様のピンチを救う王子様かな。」
そう言ってクスクスと可笑しそうに笑う彼の無邪気な様子に、胸の奥がキュッと握り締められたように苦しくなる。
「ふ、ふざけんじゃねぇぞこのクソガキ!!」
「へー随分と威勢がいいね。
だーれも助けてくれないだろうに…いいのかな?」
「っ。」
銀歯男はブロンドの彼のそんな言葉に一気に顔を青ざめる。