Arabian Princess 〜海賊に連れ去られた王女
「こ、このヤロウ!!」
ヤケになったらしい男は自分の手をねじりあげる彼に蹴りを入れようと腰を捻った。
「ふっ。馬鹿な。」
男が体を動かした瞬間、彼はスマートな動きで銀歯男の鳩尾をついた。
「だから言っただろ、無駄だって。」
意識を失った銀歯男は糸の切れた操り人形のように地面に崩れ落ちた。
「目障りだから、さっさと失せろ。」
崩れ落ちた男を一度見下ろし、
その後男の仲間の方へ顔を向けた彼は、地獄の底から聞こえてくるような低い声でそう言った。
「す、す、すみませんでした!!!」
腰抜け男たちはそんな情けない言葉を残し、慌てて銀歯男を引きずり路地の闇に消えていった。