向日葵の事情
【彩都side】
バタンッ
有馬がこの部屋を出て行った。
有馬が感情的になるのも無理はない。
異母とはいえ兄妹だし、
一時は溺れてた相手だ。
女は男を心から嫌いになることはできない、と聞いたことがある。
多分、有馬も例外ではないんだろう。
だが、晴哉の言い分もわかる。
時雨が優しい兄だったとはいえ、過去は過去。
そもそも宣戦布告をしに来た時点で嫌味な奴だ。
「おい、晴哉。有馬ちゃん出て行ったじゃねーか」
「…出てったな」
「出てったな、じゃねーだろ!」
梓が怒ってる。
当たり前だ、晴哉があんなこと言わなかったら有馬はまだここに居るはずなんだし
「有馬ちゃんを信じるって言いだしっぺは誰だよ、てめぇだろ!?
口先だけで信じること語ってんな!」