向日葵の事情

お前にはデリカシーって単語が
頭ん中ねーのかよ

「流石に妹のう〇この音で興奮はしねーわ」

昔の関係を棚に上げて良く言うよね

「まあいいや、してないし。これ返す。
イライラしてるから帰るね」

あたしは襟元の盗聴器を落として
煙草のように踏みつけた


「なぁ、お前空海やめたんならさ
禅に入らねーか?」

禅…

こいつが総長なら
きっとバックに榊組がいる。

実の、父親が


「入るわけないでしょ。
そもそも暴走族は嫌いなの」

そう言って帰ろうとして
時雨に背中を向けたとき


シュッ

背後に気配を感じた


あたしは反射的に後ろを向いて
気配に拳を入れようとした


その拳は入ることなく
時雨の掌に止められた。
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