向日葵の事情
【梓side】
「何なのよ、もぉー!錦有馬むかつく!
梓くんも思うでしょ?」
いや、お前らの方がむかつく部類なの、
自覚してくれないかな
本当にこいつらは、俺らに亀裂が走った途端に強気になる。
前まで首突っ込んで来なかった癖に
「んー、俺帰るね。じゃ」
お得意のスマイルをぶっ放して
きつい香水の匂いから逃げる
本当にこれでいいのだろうか。
正直、有馬ちゃんと同じクラスなのは
俺には結構な不利条件だ。
俺は笑顔は得意だと思ってる。
でも、無表情とか突き放すのは苦手…相手が有馬ちゃんだと余計に。
それに、有馬ちゃんの雰囲気が
前に戻ってしまった。
さっきの棘のある言い方には驚いた。
きっと、裏切られて悲しいんだと思う。
でも冷たくしなきゃ、真咲の作戦は失敗しちゃうから。
そう言い聞かせて屋上の扉を開けた。