向日葵の事情

その瞳の奥には誰にも入ることの許されない扉があって


不覚にも俺は、その扉をノックしたいと思った


俺は有馬にゆっくり近寄る

そして、手首を掴んだ。

逃がさないぞ、と言うように


「……なんで、そんな自分を売るような言い方すんだよ。自分の身を、傷付けんじゃねーよ」


俺はただそう言っただけ


なのに有馬は目を見開いて


「………しょ…ぅ…」


と呟いて俺の方へ倒れた。


倒れた拍子にわかってしまったが

「やべぇ…ほんとにこいつ胸でけぇ…」

こんなに細い体してんのに胸だけ…って!
今はそんなことどうでもいいんだ


「俺はこいつを保健室へ運ぶ。真咲(マサキ)、こいつの情報出しとけ」

そう指示し、有馬を背負って屋上を後にした
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