向日葵の事情

そんなこと言うためだけに連れてくるわけねぇだろうが

「でもその約束事は今、ここで破り捨てる。俺はお前に関わりたい」

「はぁ?殺されるって忠告聞かなかったの?」


きいたさ、そりゃ

でも…


「俺が命かけてお前と関わって、お前の命が救われれば。今の行動は悪くないんじゃないかと思うんだ」

「どういう意味よ」

俺、助けるときに見ちゃったんだよな



「お前の左手首…痛々しくて、我慢ならねぇんだよ…」


痛々しい、真っ赤な幾つもの線。



このこと言った瞬間、俺以外の4人が目を見開いたのがわかった

そりゃ、みんな気づかないだろうし
有馬も気づかれると思ってなかったろう

今はまだ5月で長袖だしな

でも、衝動的に抱き締めてしまったあの時

驚いて有馬が身をよじった時に見えてしまったんだ


あぁ、この子は本当は子供で、
手を差し伸べなきゃいけないって
思ったんだ


【晴哉side終】
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