向日葵の事情

有馬ちゃんはそう言ったきり
窓の方へ目をやった。

本当に昨日のことが嘘のような態度…



「別に…社長秘書ってのもあながち間違ってないよ」

「へ、へぇそうなん…だあああああ!?」



「おい、梓。一応こんなんでも時間的に授業中なんだから静かにしろよ。おねがいだから思う存分寝かせてくれ…」


龍一さんの願うような言葉に
一瞬、こいつ先生じゃないんじゃねーのか?という錯覚に陥った

(その感覚は普通の人間として正解です)


「あ、有馬ちゃんって未成年だよね?」

「勿論。留年なんてしてないしね」

「でも働いてるの?」

その言葉に有馬ちゃんは漸くこっちに顔を向けた。


「錦有馬には錦有馬なりの事情があるのよ」


そう言って寂しそうに笑った顔が
頭から離れてくれない


【梓side終】
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