向日葵の事情
その洋館に戻る途中にある公園で
ある男の子に出会った。
「ねぇねぇ!帰り途中?早くランドセル置いてこの公園で一緒に遊ぼうよ!」
「え…、あたし?今日は華道があるから無理…。てか、貴方のこと知らないし…」
「ああー、そっか!僕は小日向彰!これで僕のこと知ったね!
遊べないなら君のお家まで送るよ。
君の名前は?」
「錦有馬…」
「有馬ちゃん!綺麗な名前だね!」
綺麗な名前なんて初めて言われた。
自分でも、苗字みたいな名前だな、くらいしか思ってなかった。
でも彰に言われた言葉が何気に嬉しくて。
勉強しなさい、華道、空手、書道、ピアノ、バイオリンしなさいって口煩い身近な人と違くて。
彰と一緒に歩いて帰る時間が心地よかった。
これが彰との出会い。