切恋【完】
「あ、それと今日から咲と帰るから。
もうそろそろ冬じゃん?暗い道あぶねーから送ってやりてーんだよ。
お前も気をつけてかえれよ」
無邪気に笑って、残酷な事を告げるシュリをみて、泣きたくなった。
「そーだね。
咲ちゃん危ないもんね。
私は大丈夫。家も近いし。
ちゃんと送り届けてあげなよ?」
「おうっ」
ねえシュリ。
私だって女の子だよ?
暗い道怖いよ?
だけどいままでシュリが一緒だったから平気だったんだよ。
シュリの中での一番は私じゃなくなったんだね。
今更言えるはずもない想いに、胸が締め付けられた。
そのあと食べたママのお弁当は、
美味しいはずなのに味がしなかった。