切恋【完】
「きりーつ、礼〜」
さよーならー!
なんて小学生みたいに言う人は誰一人いなくて、みんなぺこっと頭を下げるなり教室は一気にざわめきを取り戻す。
愛莉帰るぞー。
いままでならそう聞こえたはずの声が、今日からは、無くなった。
代わりに。
「しゅりくんっ」
教室の外から聞こえてきた可愛らしい声。
反射的に振り向けば、シュリに向かって手を振る身長の小さい可愛らしい女の子。
「咲」
嬉しそうに駆け寄っていくシュリの姿。
ああ、あの子が彼女なんだ。