切恋【完】
またもや突如降りかかった声。
振り返らなくてもわかる。
この甘ったるい声は一人しかいない。
「泣いてるわけないじゃない」
キッと睨みつけるように顔をあげれば、楽しそうに笑う広川。
「あれ?泣いてるかとおもったのに」
「うるさい、向こういってよ」
「好きだったのに、彼女出来ちゃって落ち込んでんでしょ?」
「違う」
「ずっと一緒だと思ってたのにね?
シュリはそうじゃなかったんだね〜」
「っるさい!!!
違うつってんでしょっ!!
広川に何がわかっ…わかんのよ…っ、
ふぅ…っ、も、ほっといて…」
今までろくに話したこともない広川の前で、情けなくも涙がボロボロ零れ落ちる。
「はあ。やっと泣いた。
最初から素直になんなよ。
意地はってると可愛くないよ」
「っるさい…こっち見んな」