切恋【完】
やれやれ。
そう言いたそうにため息をつくと、私をふんわりと抱き寄せた。
「!?ちょっ…離せばか!」
「うるさい。黙って」
「っは、はぁ?なんなの?」
抱きしめられた身体を離そうと、広川の胸に手を押し付けるけど、広川はビクともしなくて。
「泣いていーよ。気がすむまで」
「なっ…」
広川が耳元で甘く囁くから、不覚にもドキッとして…。
「辛い時は泣けばいーよ」
だけど、そんな風に優しく言うから抵抗することをやめた。
「でも、昨日もたくさん泣いたもん…」
「けど、まだ泣き足りないでしょ?
いいんだよ。女の子は恋するときと、失恋した時に可愛くなるんだから」