刹那ッチ!
ちょうどナイキが出だした頃やってさぁ、NIKEのバッタもんでMIKEって···猫やろ?
 ルービックキューブが爆発的にブームになった時に買うてもらったんは、駄菓子屋で売ってた動きのメチャ固い〝ルービックキューブリック〟全部コピー商品やったけど、別にそれはそれでイヤじゃなかったんよ。今、思い出してみたら、そんなんでいじめられたり、仲間外れってなかったしな。


 他に「エエなぁ」って思ってたこともあったわ。
 それは、運動会とか、音楽会とか見に来てくれへんかったこと。全く記憶にないのよ。
 運動会でも、オカンが「流ちゃん頑張れ」って応援してくれたり、見ててくれたら0¸00一秒でも早く走れたかもしれへんやん?

下町の無法地帯みたいな所の小学校やったから、応援に来てる父兄も凄いねん。リレーか徒競争の順番待ちの時に、近所の飲んだくれの汚いオッサンと高山のおばちゃんが話してるのを聞いててん。
おっさんは「おい!次はどないする?次のリレーや。ワシは右から二番目の男子に五百円。お前は?」
「ほんならアタシは左端の越田の兄ちゃんに賭けるわ。」

って、オイ!
 隣のおっさん連中にも「賭けへんか?」って聞いてる。聞くな聞くな!隣のおっさんも、「ほな左から二番目の子に五百円!」って、賭けるな賭けるな!
 ほんでスタートするやろ?声援も半端じゃないのよ。
「イケイケ!逃げろ~!」「まくれまくれ!来い来い!」って、コレコレ。エキサイトし過ぎ!
 でもこれが普通やったんよ。子供ながらに
「ウチは賭けるお金が無いから見に来られへんねんやろか?」って、切ないやろ?悲しすぎる。
 
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