刹那ッチ!
「今回は来てくれるかなぁ、オカン。」って、思ってた。
もちろん、親子遠足や、親子行事も一緒やで。

あっ!遠足で思い出した事があんねんけど、遠足ってお弁当やん?
せやけど貧乏やった俺は、たいがいはオニギリとゆで卵やねんな。友達はエビフライやハンバーグや唐揚げでおいしそうやねん。でも子供ながらにオニギリとゆで卵は慣れてたよ。
いつもゆで卵に携帯用の小袋の塩がついててん。その携帯用の塩は便利で、ゆで卵食べるんにちょうどいい量が入ってんねん。小学校五年の時の遠足で、いつも通りオニギリとゆで卵を食べとったらいきなり先生が俺の所に来てさぁ、
「ちょっと、その小袋なんなん?」って言うねん。しかも少々キレ気味。
「えっ?ゆで卵にかける塩が入ってんねんけどー。」って俺が答えたら、俺の手からその袋をサッと取り上げて、
「あんた!これは『お清めの塩』やないの!お葬式とかお通夜の帰りにもらうやつやんか!何やってるんよ!」って。
 そん時まで、自分の中では「これは便利やな」って感心してたのに。実はそれは『お清めの塩』って、何やねん!おい、オカン!それを毎回って!何回葬式に行き倒してんや!っていうか、それを喜々として使ってた俺って、一体―。
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