一人の女官は恋をした【短編、諸説あり】
「満足…?」
意味がわからない。
島流しが幸せなのか。
彼は何も悪いことしてないのに。
ただ生まれただけで忌み子と言われ、隠され、利用され、捨てられる。
果たして、それでいいのだろうか。
「私の姉もそうだったんだ」
「っ、」
姉。
それは、彼の想い人。
(また、目が…)
目が、男の目になっている。
悲しげな笑みを浮かべた目ではなく、ただ愛しい人を想う目に。
「麗には話してなかったか。…ははっ、そんな悲しそうな顔をするもんじゃないよ」
頭を撫でられたが、胸が痛むだけだった。
(やはり、御姉様のこと…本気で…)
双子の姉というから、似ているのだろうか。
彼が愛する女性は、どんな人なのだろうか。
つい、いろんな想像をしてしまった。
「麗。聞いてくれるか?私たちの話を」
「日子さま…」